花粉症で眠くならない抗アレルギー薬、市販薬と処方薬を徹底解説

春が訪れると共に、毎年多くの人々が花粉症に悩まされます。

鼻水、鼻詰まり、目のかゆみといった症状は日常生活を大いに妨げ、生活の質を下げてしまいます。

そんな花粉症の症状を緩和するためには、抗アレルギー薬の利用が一般的です。

しかし、一部の抗アレルギー薬は副作用として眠気を引き起こし、日常生活や仕事、学業に影響を及ぼす可能性があります。

そこで、眠くなりにくい抗アレルギー薬に焦点を当て、その市販薬と処方薬について徹底的に解説します。

どの薬が眠くなりにくいのか、どの薬が眠気を引き起こす可能性があるのか、それぞれの薬についてご紹介します。

目次

花粉症と抗アレルギー薬の基本

花粉症とは、花粉がアレルギーの原因となり、主に春にくしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどの症状を引き起こす病状です。

これらの症状は、体が花粉を異物と認識し、反応としてヒスタミンという物質を過剰に分泌することで起こります。

ここで抗アレルギー薬が役立ちます。

抗アレルギー薬は、ヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン作用を持ちます。

これにより、ヒスタミンが引き起こす症状を緩和し、快適な日常生活を取り戻すことができます。

しかし、一部の抗アレルギー薬は、ヒスタミンを抑制する過程で中枢神経系に作用し、眠気を引き起こす副作用があります。

眠気を引き起こす抗アレルギー薬とそのメカニズム

抗アレルギー薬が眠気を引き起こす理由は、それらが中枢神経系に作用するからです。

ヒスタミンは、アレルギー反応だけでなく、覚醒状態を維持する役割も果たしています。

そのため、中枢でヒスタミンの作用を抑えると、強い眠気が引き起こされる原因になるのです。

特に、第一世代の抗アレルギー薬は脳を通過しやすく、中枢神経系に影響を及ぼしやすいため、眠気を引き起こしやすいとされています。

第一世代の抗アレルギー薬の代表的な薬としては、d-クロルフェニラミン(商品名:ポララミン)が挙げられます。

この薬は、確かにアレルギー症状を効果的に緩和しますが、眠気を伴う副作用を引き起こす可能性が高いため、日中の使用や運転前の使用は推奨されません。

したがって、眠気を引き起こしにくい第二世代の抗アレルギー薬が現在では主流となっています。

第二世代の抗アレルギー薬の代表的な薬としては、フェキソフェナジン(商品名:アレグラ)が挙げられます。

眠くならない抗アレルギー薬 | 市販薬

市販薬で販売されている抗アレルギー薬の有効成分は以下のものがあります。

有効成分商品名眠気の副作用
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩ベンザ鼻炎薬α
ジフェンヒドラミン塩酸塩レスタミンコーワ糖衣錠
第一世代抗アレルギー薬
有効成分商品名眠気の副作用
フェキソフェナジン塩酸塩アレグラFX無~弱
エピナスチン塩酸塩アレジオン20
エバステルエバステルAL
ロラタジンクラリチンEX弱~中
ベポタスチンベシル酸タリオンAR弱~中
セチリジン塩酸塩新コンタック鼻炎Z中~強
アゼラスチン塩酸塩ムヒAZ錠
メキタジンストナリニ・ガード
第二世代抗アレルギー薬

ベンザ鼻炎薬α

有効成分はd-クロルフェニラミンです。

市販薬の中では強力に効果がでると思われます。

ストナリニSという同じ有効成分を含んだ商品もあります。

レスタミンコーワ糖衣錠

有効成分はジフェンヒドラミン塩酸塩です。

効果と眠気ともに強くでます。

アレグラFX

アレグラFX

第二世代抗アレルギー薬の中では一番有名かもしれません。

有効成分はフェキソフェナジンです。

ビラノアと同じく、第二世代抗アレルギー薬の中では特に眠気の副作用が出にくい薬です。

1日2回服用する必要があります。

アレジオン20

アレジオン20

有効成分はエピナスチンです。

眠気もほぼでなく、効力もアレグラに比べて強いとされています。

1日1回で効果が24時間持続します。

バステルAL

有効成分はエバステルです。

効力・眠気など、ほとんどアレジオン20と似ています。

クラリチンEX

クラリチンEX

有効成分はロラタジンです。

比較的効力もあるお薬ですが、弱点としてまれに個人差が出ます。

有効成分の薬が肝臓で代謝されてから効果がでるためです。

肝臓の代謝能力が個々人によって違うため個人差がでる原因となります。

1日1回で効果が24時間持続します。

タリオンAR

タリオンAR

有効成分はベポタスチンです。

効力はしっかりとあり、かつ、眠気もあまりでにくい抗アレルギー薬です。

1日2回服用する必要があります。

新コンタック鼻炎Z

新コンタック鼻炎Z

有効成分はセチリジンです。

新コンタック鼻炎Zは市販の第二世代抗アレルギー薬の中では効力が出ると思われます。

しかしながら、眠気の副作用も強いとされています。

ストナリニZジェルという同じ有効成分を含んだ商品もあります。

ムヒAZ錠

有効成分はアゼラスチン塩酸塩です。

効力は強いのですが、眠気も強く出る抗アレルギー薬です。

ストナリニ・ガード

有効成分はメキタジンです。

効力は中程度ありますが、眠気も結構出やすい抗アレルギー薬です。

市販の眠くならない抗アレルギー薬の強さ比較

基本的には眠気が強く出るものほど、抗アレルギー薬として強いと思っていただければ良いです。

そのため、第一世代抗アレルギーが強さではトップクラスになっています。

ただし、効力・眠気の副作用は個人差が出ます。それを踏まえて参考にしてください。

眠くならない抗アレルギー薬 | 処方薬

病院で処方される抗アレルギーの有効成分は以下のものがあります。

有効成分商品名眠気の副作用
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩ポララミン
ベタメタゾン
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
セレスタミン
第一世代抗アレルギー薬
有効成分商品名眠気の副作用
フェキソフェナジンアレグラ無~弱
プソイドエフェドリン
フェキソフェナジン
ディレグラ無~弱
ビラスチンビラノア無~弱
エピナスチンアレジオン
エバステルエバステル
デスロラタジンデザレックス
ロラタジンクラリチン弱~中
レボセチリジンザイザル
セチリジンジルテック中~強
エメダスチンアレサガテープ中~強
ルパタジンルパフィン中~強
アゼラスチンアゼプチン
メキタジンゼスラン
ニポラジン
オロパタジンアレロック
第二世代抗アレルギー薬

ポララミン

有効成分はd-クロルフェニラミンです。

効力も強く眠気も強いです。

市販薬でも販売されております。

1日3~4回服用します

セレスタミン

有効成分はベタメタゾンとd-クロルフェニラミンです。

ステロイド成分のベタメタゾンが入っているため、基本的には頓用です。

効力は最強クラスです。

アレグラ

有効成分はフェキソフェナジンです。

効果は弱く、眠気もほぼないです。

空腹時に服用したほうが吸収量が高くなり、効果も上がります。

市販薬でも販売されております。

1日2回服用します。

ディレグラ

有効成分はフェキソフェナジンとプソイドエフェドリンです。

プソイドエフェドリンが入っている分、鼻詰まりにも効力があります。

空腹時に服用しなければいけないとなっております。

おそらくフェキソフェナジンの吸収量を高めるためだと思われます。

1日2回服用します。

ビラノア

有効成分はビラスチンです。

眠気はほぼなく、効力も中程度あります。

食後に飲んではいけないというデメリットがあります。

1日1回服用します。

アレジオン

有効成分はエピナスチンです。

眠気がほぼなく、効力もアレグラよりあります。

市販薬でも販売されております。

1日1回服用します。

エバステル

有効成分はエバスチンです。

ほぼアレジオンと効力・眠気の副作用ともに似ているといってもよいです。

市販薬でも販売されております。

1日1回服用します。

デザレックス

有効成分はデスロラタジンです。

クラリチンの活性代謝物のみを製品化した製剤です。

これにより個人差がなくなりました。

1日1回服用します。

クラリチン

有効成分はロラタジンです。

ロラタジンは服用後、肝臓で代謝されデスロラタジン(デザレックス)になります。

この過程を経ることで抗アレルギー薬として効果が出てきます。

しかし、肝臓の代謝には個人差が出るため、効果も個人差が出やすい傾向があります。

市販薬でも販売されております。

1日1回服用します。

ザイザル

有効成分はレボセチリジンです。

セチリジンの鏡像異性体であるS体だけを取り出した製剤です。

R体はあまり抗アレルギー作用が強くなく、眠気だけ出します。

そのためザイザルはジルテックより眠気が少ないとされています。

1日1回服用します

ジルテック

有効成分はセチリジンです。

効力は強いのですが、眠気もわりと出やすい薬です。

市販薬でも販売されております。

1日1回服用します。

アレサガテープ

有効成分はエメダスチンです。

唯一のテープ剤です。

眠気の副作用より、貼付部位のかゆみなどの副作用のほうが出やすいです。

1日1回張り替えます。

ルパフィン

有効成分はルパタジンです。

ルパタジンが代謝されるとデスロラタジン(デザレックス)になります。

ルパタジン自体も効力があり、これが眠気を強く引き起こしています。

そのため、寝る前に服用するのが良いとされています。

起きる頃にはデスロラタジンに体内で変換されているため、日中は眠気が出にくくなります。

1日1回服用します。

アゼプチン

有効成分はアゼラスチンです。

ほとんどゼスランに似ていると思われます。

市販薬でも販売されております。

1日2回服用します。

ゼスラン/ニポラジン

有効成分はメキタジンです。

比較的に効力は強いのですが、眠気や口渇の副作用も出やすいです。

市販薬でも販売されております。

1日2回服用します。

アレロック

有効成分はオロパタジンです。

第二世代抗アレルギー薬の中ではトップクラスの効力を持っています。

その分眠気もよく出ます。

1日2回服用します。

処方薬の眠くならない抗アレルギー薬の強さ比較

基本的には眠気が強く出るものほど、抗アレルギー薬として強いと思っていただければ良いです。

そのため、第一世代抗アレルギーが強さではトップクラスになっています。

ただし、効力・眠気の副作用は個人差が出ます。それを踏まえて参考にしてください。

眠くならない花粉症の薬 | ケミカルメディエーター受容体拮抗薬

アレルギーはヒスタミン以外にも他にロイコトリエンなどのケミカルメディエーターでも誘発されます。

このケミカルメディエーターをブロックする役割の薬を抗アレルギー薬と一緒に服用すると、より効果が高まります。

鼻水、くしゃみを抑えるよりは、主に鼻閉の改善を得意としている薬です。

シングレア/キプレス

有効成分はモンテルカストです。

シングレアとキプレスはそれぞれ別会社が出しているため商品名が違いますが、中身は一緒です。

1日1回服用する薬です。

オノン

有効成分はプランルカストです。

1日2回服用する薬です。

バイナス

有効成分はラマトロバンです。

花粉症やじんましんに有効です。

何飲んでもあまり効果が実感できないという時に、服用してみると意外に効果が出ることがあります。

眠くならない花粉症の薬 | 漢方薬

漢方薬はヒスタミンをブロックするような効果で花粉症状を抑えるわけではないです。

そのため、一般的には眠気は出ません。

ただし、単独での服用だとあまり効果が出ないこともあるので、抗アレルギー薬と一緒に服用するのが良いでしょう。

小青竜湯

花粉症で鼻水が多い時の症状に適している漢方です。

鼻水がかなり強いようであれば、追加で五苓散あるいは二陳湯を加えると効果が出ます。

麻黄附子細辛湯

小青竜湯と同じような使い方にはなるとは思います。

附子が入っているので、冷えもある方にはこちらのほうが適しています。

葛根湯加川芎辛夷

鼻水もあるけど、鼻閉もあるというときは小青竜湯よりはこちらのほうが適しています。

後鼻漏が気になる場合でも適しています。

越婢加朮湯

石膏が構成成分に入っており、炎症を強力に沈める作用があります。

そのため、目の痒み、鼻粘膜の発赤、のどの腫れなどが強い場合に適しています。

鼻閉がかなり強い人には小青竜湯や葛根湯加川芎辛夷よりはこちらのほうが良いです。

麻黄の量が多いので胃の調子が悪くなることがあります。

大青竜湯(麻黄湯+越婢加朮湯)

越婢加朮湯を使用しても効果がいまいちな場合に用いると良いです。

しかしながら、麻黄湯を加えることでさらに麻黄が増えます。

そのため胃の調子が悪くなる可能性が高くなります。

眠くならない花粉症の薬 | 点鼻薬

点鼻薬は内服の抗アレルギー薬と同等、あるいは以上の効果を発揮するとされています。

ただし、使用方法を誤っているため、効果が出ないと感じる人が多数おります。

花粉症においての点鼻薬はすべてステロイド型です。

ステロイドの点鼻薬は過剰に反応している免疫を落ち着かせることで効果が発揮されます。

この効果が発揮されるタイミングが、点鼻薬の使用を始めてから大体1~2週間必要とされています。

そのため、鼻が酷いなと思った時だけ使用しても全く意味がありません。

定期的に毎日使用する必要があります。

効果はどれも大差はないとされていますので、使用回数や使い心地などで決めると良いと思われます。

アラミスト点鼻薬

1日1回、1回2噴霧の使用です。

そこまで出てくる液体に勢いはなく使用しやすいです。

ナゾネックス点鼻薬

1日1回、1回2噴霧の使用です。

勢いよく鼻に液が出てきます。

フルナーゼ点鼻薬

唯一市販で販売されております。

1日2回、1回1噴霧の使用です。

症状に合わせて1日最大8噴霧できる特徴があります。

エリザス点鼻薬

粉末タイプの点鼻薬。

1日1回、1回1噴霧の使用です。

眠くならない抗アレルギー薬 | おすすめの選択

数々の薬を紹介しましたが、おそらくどれが良いのか結局わからずに迷ってしまうと思われます。

その方のために、眠気が比較的に出にくい薬をピックアップします。

効果や眠気の副作用には個人差が出るので参考程度にしてください。

市販薬で眠くなりにくい薬

商品名効力眠気の副作用服用回数
アレグラFX無~弱2回
アレジオン20弱~中1回
エバステルAL弱~中1回
クラリチンEX弱~中弱~中1回
タリオンAR弱~中2回

上記を参考にし、効力を加味しながら選ぶと良いでしょう。

おすすめとしては、まずアレグラかアレジオンを選び、効果が無いようであれば違う薬を選択してみるのが良いと思われます。

症状が強い場合には

  • 小青竜湯
  • フルナーゼ点鼻薬

こちらを併用するとより効力が強まります。

処方薬で眠くなりにくい薬

商品名効力眠気の副作用服用回数
アレグラ無~弱2回
ディレグラ無~弱2回
ビラノア無~弱1回
アレジオン弱~中1回
エバステル弱~中1回
デザレックス弱~中1回
クラリチン弱~中弱~中1回
ザイザル中~強1回

上記を参考にし、効力を加味しながら選ぶと良いでしょう。

おすすめとしては、ビラノアかデザレックスあたりを処方してもらって、効果がないようであればザイザルなどを試すのが良いのではないでしょうか。

ただし、飲み薬だけではなく点鼻薬も処方してもらい、併用して使うのが良いです。

また鼻閉が強い場合には下記の薬を出してもらうのが良いでしょう。

  • シングレア/キプレス
  • オノン
  • 葛根湯加川芎辛夷
  • 越婢加朮湯
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