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酔い止め薬は睡眠薬代わりになるのか

トラベルミンは睡眠薬になるか

酔い止め薬の有効成分のほとんどが「抗アレルギー薬」です。

抗アレルギー薬は副作用として眠気が出ることがあり、眠気の副作用を主目的と考えれば睡眠薬の代わりにはなりえます。

市販の睡眠薬として販売されている「ドリエル」などは、副作用を主目的にして、睡眠改善薬として販売されています。

なので、抗アレルギー薬が配合された酔い止め薬は睡眠薬代わりになります。

しかし、眠気が出ないこともありますし、そもそも睡眠薬として販売されてないのでやめたほうがいいです。

目次

何で酔い止め薬で眠気がでるのか

酔い止め薬の有効成分「抗アレルギー薬」が中枢神経系に作用してしまうことによります。

抗アレルギー薬は嘔吐中枢に作用して吐き気を抑えますが、他にも覚醒に司る中枢への間接的・直接作用のせいで眠気が強くでてしまいます。

酔い止め薬に入っている抗アレルギー薬は、中枢への移行が高いため、眠気が出やすくなります。

全ての酔い止め薬で眠気がでるのか

酔い止めの成分で眠気が出るのは「抗アレルギー薬」を含むものだけと考えたほうがいいでしょう。

抗アレルギー薬を含んでいない、眠気が出にくい酔い止め薬は以下のような製品です。

  • トラベルミンR
  • 五苓散
  • 小半夏加茯苓湯
  • 二陳湯

花粉症薬アレグラに比べると眠気出やすいのはなんで

中枢(脳内)への移行率の違いによるものです。

花粉症薬のアレグラに比べ、酔い止め薬の抗アレルギー薬は非常に中枢への移行に優れています。

抗アレルギー薬の中枢移行性は「第一世代>第二世代」が一般的ですが、違うこともあります。

Yanai K, Tashiro M. The physiological and pathophysiological roles of neuronal histamine : an insight from human positron emission tomography studies. Pharmacol Ther. 2007;113:1-15. より一部改変

酔い止め薬として有名なトラベルミンは「ジフェンヒドラミン」が含まれています。

上記の図でいうと「レスタミン」と同じ成分です。

レスタミンはアレグラに比べると、脳内への移行にかなりの差があるとわかります。

酔い止めに配合されている抗アレルギー薬にはジフェンヒドラミン以外にも「メクリジン」があります。

メクリジンに関してはデータが無かったため不明ですが、ジフェンヒドラミンと同じく第一世代の抗アレルギー薬のため、脳内への移行性は強いと思われます。

メクリジンに関しても眠気は強く出ると思われます。

余談:アレグラは酔い止めとしては使えない

酔い止め薬は嘔吐中枢へ作用をすることなどによって吐き気を抑えます。

嘔吐中枢だけに作用するなら眠気はでませんが、覚醒に司る中枢などにも作用してしまうため眠気が出ます。

アレグラは中枢へほぼ移行しないため、酔い止めにはなりません。代わりに眠気もほぼ出ません。

ドリエルとの違い

ジフェンヒドラミンが含まれているトラベルミンならほぼ変わりはないです。

商品名1回服用量
トラベルミンジフェンヒドラミン40mg
ドリエルジフェンヒドラミン50mg

市販の睡眠改善薬にはドリエルがあり、1回のジフェンヒドラミン服用量は50mgです。

トラベルミンは40mgのため、ほとんど差がないです。

メクリジンが含まれている商品に関してはデータがなく、単純に比較できるものでもないので不明です。

酔い止め薬を睡眠薬代わりにしないように

そもそも酔い止め薬は睡眠薬として作られていません。

長期に酔い止め薬を睡眠改善薬代わりに服用していると、眠気に耐性がついてきます。

満腹中枢などにも作用してしまって、満腹感が感じにくくなり、食べ物をたくさん食べる傾向になることなど、思わぬ症状がでてくることがあります。

トラベルミンはドリエルと中身はほとんど変わりませんが、睡眠改善薬の代わりにしないようにしてください。

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