喉が痛くて唾を飲み込むだけでもつらい時、はやく症状を和らげたいと普通は思います。
喉の痛みを緩和するために一般的にはトラネキサム酸や、うがい薬が用いられます。
しかし、これらの薬に加えて、漢方薬の中にも喉の痛みに効果的なものがあります。
桔梗湯です。
では、実際に桔梗湯を服用するとどの程度で効果がでてくるのか?
桔梗湯の効果は服用後早くて10分程度で現れるというデータがあります。
桔梗湯はなぜ喉の痛みに効くのか
桔梗湯は、「桔梗」と「甘草」という2つの生薬から構成される漢方薬です。
桔梗と甘草は、どちらもそれぞれに痛みを抑える力があります。
これらが組み合わさることで、桔梗湯は喉の痛みに効力を発揮します。
桔梗の効果
桔梗の主な成分は「プラチコジンD」です。
プラチコジンDは色々な作用がありますが、感冒(かぜ)に対しては去痰作用と抗炎症作用があります。[1][2]
この作用があるので、桔梗湯は気道の炎症を抑えたり、痰を排出しやすくします。
市販のトローチには、桔梗が含まれているものもあります。
甘草の効果
甘草の主な成分は「グリチルリチン酸」です。
グリチルリチン酸は優れた消炎作用を発揮し、喉の痛みを緩和します。[3]
市販薬だとトローチ剤やかぜ薬に含まれていることが多いです。
優れた消炎作用があることから、化粧水などにも含まれていることがあります。
桔梗湯の効果が出るまでの時間
ある研究で、桔梗湯を服用後10分で喉の痛みの改善が出ているというデータがあります。[4]
この研究では、急性上部呼吸器感染症に伴う喉の痛みに対する桔梗湯の有効性を評価しています。
喉の痛みを訴える患者に対し、桔梗湯を白湯に溶かして服用してもらい、その後の症状の変化を観察しました。
その結果、患者の喉の痛みスコアは桔梗湯の投与からわずか10分後に有意に減少し、さらに30分後にも引き続き有意に減少しています。
これは、桔梗湯の服用で急速に喉の痛みが緩和されることを示しています。
この研究は介入研究であり、喉の痛みのスコアも服用した患者本人が記録しています。
つまるところバイアスがかかっている可能性があります。
しかし、患者本人が喉の痛みが改善していると言っているわけで、桔梗湯は即効性が期待できると示唆されます。
桔梗湯はなぜそんなに早く効果が出るのか?
桔梗湯がすぐに効果を発揮する理由として以下の2点が考えられます。
- 桔梗湯の構成生薬の少なさ
- 患部にダイレクトに届く
桔梗湯の構成生薬の少なさ
基本的な漢方薬の考えとして、複数の生薬を混ぜることで、効果の強弱をコントロールしています。
構成生薬が多くなると、体内での作用が複雑になり、効果が出るまでの時間が長くなることがあります。
桔梗湯は「桔梗」と「甘草」という、たった2つの生薬から構成されています。
構成生薬が少ないシンプルな構成は、短時間で効果を発揮しやすいとされています。
例えば、こむら返り(足の攣り)の改善に用いられる芍薬甘草湯も、同様に「芍薬」「甘草」という2種類の生薬から構成されています。
芍薬甘草湯はその即効性から有名で、服用後3分程度で効果が出てくることが多いです。
芍薬甘草湯と同じように、桔梗湯の成分が少ないことが、短時間で効果を発揮する理由の一つと考えられます。
患部にダイレクトに届く
桔梗湯が即効性を発揮するもう一つの理由として、直接患部に届くという点があげられます。
桔梗湯は飲み物として服用すると、口腔から咽頭、そして気道へと直接届きます。
これにより、桔梗湯が咽頭や気道など、直接痛みを感じる箇所に触れ、効果を発揮します。
桔梗湯が他の内服薬と異なり、痛みを感じている箇所にダイレクトに届くことが、即効性を発揮している理由の一つと考えられます。
桔梗湯を効果的な飲み方【うがい】
桔梗湯を水などで溶かして服用すると、口から直接患部に届けられるため、即効性を期待できます。
この効果を最大限に引き出すための方法としては、桔梗湯を白湯あるいは水に溶かし、うがいをしながら服用すると良いです。
多少汚ない飲み方にはなりますが、ガラガラしながら服用することで、桔梗湯が扁桃腺や気道に直接触れることになります。
実際に桔梗湯が処方された場合、うがいしながら服用するようにとの指示が出ることが多いです。
この指示の目的は、桔梗湯の効果を最大限に引き出すためです。