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大建中湯でおならの量と臭いが軽減【おならが増える可能性についても解説】

おならは口から飲み込んだ空気や腸内で発生したガスが、最終的に出てくるものです。

人間だれしもがおならは出ますし、無くすこと自体は不可能です。

しかし、何かしらの原因があり、おならが普通よりも大量に出る人もいます。

食生活を見直すなどの対策がありますが、漢方薬「大建中湯」によっておならは改善できます。

ただし、大建中湯によりお腹の調子が良くなる一方で、初期段階では一時的におならの回数が増えることもあります。

これは腸内環境が改善し、停滞していたガスが排出されるためです。

目次

大建中湯の生薬はどのようにお腹に働くのか

大建中湯は4つの生薬「乾姜」「人参」「山椒」「膠飴」から構成された漢方薬です。

これら4つの生薬が組み合わさることで以下のような作用を発揮します。

大建中湯はおならだけに効くのではなく、便秘、下痢などにも効果があります。

  • お腹を温めることで冷えを取り除く
  • 腸の運動を改善する
  • 消化吸収を改善する
  • お腹を元気にする

乾姜

生の状態から乾燥させたものを「生姜」、蒸してから乾燥させたものを「乾姜」と呼びます。

蒸して乾燥させると生姜の主成分「ジンゲロール」が「ショウガオール」になります。

ジンゲロールに比べ、ショウガオールは体の中を温める効果が高いです。[1]

また、ショウガオールはお腹の血流を改善させる効果、炎症を抑える効果があります。[2][3]

人参

主要な成分は「ジンセノサイド」で効能は多岐にわたり、お腹に作用する効果としては、炎症、胃腸運動を改善する作用があります。[4]

漢方的に言うなら、人参は気を補うための生薬です。

「気」とは「元気」などの生命力的なエネルギーや、「やる気」のような精神的なエネルギーも含んだ全ての事を言います。

気は生きているだけで常に消費されます。消費された気は食事などから吸収されます。

人参は気の補給を手助けする作用があるため、胃腸に対して良いのです。

山椒

山椒は、ウナギにまぶして食べたことがある人も多いのではないでしょうか。

それと同じものです。

主成分は「サンショオール」で、独特なにおいと、辛みをもつ成分です。

サンショオールは乾姜のショウガオールと同様に、お腹の血流を改善させる効果、炎症を抑える効果があります。[5]

膠飴

イモやイネなどが元になっている糖化物です。簡単に言うと飴(あめ)です。

糖分、タンパク質、脂質などを豊富に含んでいるので、体への栄養になります。

そのため、気を補う作用があるといわれています。

大建中湯は実際におならの量を減らすことが出来るのか

ある研究で、大建中湯がおならの量を減らしているというデータがあります。[6]

この研究では、胃全摘術後の腸運動に対する大建中湯の効果確認をしています。

確認項目の一つに腸内ガス量があり、結果として、腸内ガス量が減少していることが報告されています。

胃全摘術後は胃腸の運動が低下し、ガスが溜まりやすいことが知られています。

大建中湯が胃腸の運動を促進し、それによってガス溜まりが出来にくい状態を作り出したと推測されます。

研究データは胃全摘手術後の症状に対する試験なので、通常の人が大建中湯の服用でおならの量を減らせる事とイコールにはなりません。

しかし、通常の人であっても、おならの量が多い場合は腸の運動が低下していることが要因のひとつとして挙げられます。

つまり、胃全摘術後と同様に腸の運動が低下している状況では、大建中湯が腸内ガスの量を減らすことが示唆されます。

なぜ大建中湯がおならを減らすのか

大建中湯はお腹に作用することにより、腸の運動を高めたり、血流を良くしたり、抗炎症作用を発揮します。

また、腸内細菌の環境を整える作用もあります。

これらが組み合わさることにより、腸の機能が改善して、おならの量や臭いを軽減します。

  • 腸管の血流・運動を改善
  • 腸内フローラのバランス改善

腸管の血流・運動を改善

大建中湯を服用すると、様々な効果により腸管の血流を増加させ[2][5]、運動を促進します。[7][8][9]

この効果は、おならの量や臭い、便秘などに非常に重要な役割を果たし、結果的に改善してくれます。

腸管の血流が悪いと、腸の機能がうまく働かなくなり、腸管の運動も低下しやすくなります。

腸の運動は食べ物や消化物を腸内を通過させるための力であり、これが低下すると食べ物の残りカスなどが腸内に停滞しやすくなります。

この状態が長く続くと、腸内で悪玉菌が増殖し、腐敗物(おならの原因となるガス)を生成しやすくなる環境へと変化していきます。

さらに、悪玉菌が優勢になると、腸の運動が低下しやすくなり、おならの量が増える可能性が高まります。

大建中湯はこのような状況を改善する効果があります。

大建中湯の成分は腸管の血流・運動を高めることで、消化物の腸内通過をスムーズにします。

これにより、腸内での悪玉菌の増殖とおならの生成が抑制され、おならの量や臭いを軽減することが期待できます。

腸内フローラのバランス改善

腸内には数多くの細菌が存在していますが、これらの細菌群をまとめて腸内フローラと呼びます。

腸内フローラのバランスが崩れると、お腹の調子が悪くなることが知られています。

大建中湯は善玉菌を増やす作用があり、悪玉菌を住みにくい環境へと追いやり、腸内フローラのバランスを改善します。

この効果が、おならの量、臭いの軽減へと繋がります。

腸内フローラとおならの関係

腸内フローラは主に「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類に分けられます。

理想的な腸内フローラのバランスは、「善玉菌2・悪玉菌1・日和見菌7」と言われています。[10]

特に注目すべきは、腸内細菌の7割を占める日和見菌です。

日和見菌は、善玉菌が優勢な状態では善玉菌に同調し、発酵活動をし、悪玉菌が優勢になると悪玉菌に同調し、腐敗活動をします。

したがって、善玉菌を優勢に保つことで、おならの量や臭いを改善させることが出来ると期待できます。

大建中湯は腸内フローラのバランスを是正する

腸内環境の改善には、善玉菌が悪玉菌よりも優勢であることが重要です。

ある研究で、大建中湯は特定の腸内フローラ、Lactobacillus属(乳酸菌群)の増加を助けることがわかりました。[11]

これにより、善玉菌が優勢な状態を保つことが可能になります。

おならの量やその臭いは、腸内フローラのバランスが大きく影響しています。

悪玉菌が多くなると、腸内での腐敗活動が活発化し、おならの量や臭いを悪化させる原因となります。

大建中湯は腸内フローラの改善に役立つことで、おならの量をコントロールし、その臭いを軽減する働きも期待できます。

大建中湯がおならを増やす可能性について

大建中湯はおならの量や臭いを改善する可能性が高いですが、一方でおならの回数・量が増えてしまう可能性もあります。

要因として以下の2点が考えられます。

  • 腸管運動改善による、おならの回数の増加
  • 生薬「膠飴」によって、おならが増える可能性

大建中湯を服用したばかりで、おならの回数が増える場合は、一時的な事の可能性が高いです。

しかし、長期に服用しておならが増加している場合、「量」ではなく「回数」が増えているだけか、大建中湯の構成生薬「膠飴」によるものかもしれません。

腸管運動改善による、おならの回数の増加

大建中湯は、腸管の血流を改善し、運動を促進する働きがあります。

これにより、食物の消化残渣が腸内で停滞することを防ぎ、おならの量や臭い、便秘などが悪化することを防ぎます。

腸管の運動が弱まっていた人が大建中湯を服用すると、元々腸内に溜まっていたおならが排出されやすくなります。

結果、服用開始時では、一時的におならの回数が増えることがあります。

通常は長期にわたって服用を続けることでおならの回数は徐々に改善していきます。

それでも長期に服用していて改善しない場合もありますが、この場合、おならの「量」ではなく「排出回数」が多いという状況である可能性が高いです。

停滞していたガスが大建中湯によってスムーズに排出されるようになり、以前よりおならの回数が増加する現象は充分に考えられるからです。

生薬「膠飴」によって、おならが増える可能性

膠飴は簡単に言うと、糖分、タンパク質、脂質の塊です。

糖分は善玉菌の餌となり、タンパク質や脂質は悪玉菌の餌となります。

これらの菌は餌を食べることにより、おならの素となるガスを発生します。

膠飴を栄養としてガスが発生すれば、おならの量が増える可能性も否定はできません。

善玉菌悪玉菌
水素
二酸化炭素
メタン など
硫化水素
二酸化硫黄
スカトール など

しかし、膠飴によるおならの増加はかなり可能性が低いと考えられます。

大建中湯1日6包分の中に、膠飴は10gしか入っていないからです。

膠飴10gの糖分・タンパク質・脂質は、食事から摂取する量に比べると微々たる量です。

可能性のひとつではありますが、大きな要因とは言えないでしょう。

まとめ:大建中湯によるおならへのアプローチ

大建中湯は「乾姜」「人参」「山椒」「膠飴」から構成された漢方薬です。

4つの生薬が複合的に作用し、腸管の血流改善、運動促進をしたり、腸内フローラのバランスを改善します。

これらの作用が、腸内消化物の停滞を改善し、おならの量や臭いを軽減してくれます。

しかし、おならの停滞を改善することは、一時的なおならの回数増加に繋がる可能性があります。

通常であれば、長期に服用すると改善しますが、長期に飲んでいても改善しない場合があるかもしれません。

この場合、おならの「量」ではなく「排出回数」が多いという状況である可能性が高いです。

参考文献

[1] Ali H B, et al. Some phytochemical, pharmacological and toxicological properties of ginger (Zingiber officinale Roscoe): a review of recent research. Food Chem Toxicol. 2008;46(2):409-20.

[2] Murata P, et al. The herbal medicine Dai-kenchu-to and one of its active components [6]-shogaol increase intestinal blood flow in rats. Life Sci. 2002;70(17):2061-70.

[3] Kono T, et al. Anti-colitis and -adhesion effects of daikenchuto via endogenous adrenomedullin enhancement in Crohn’s disease mouse model. J Crohns Colitis. 2010;4(2):161-70.

[4] Tan S, et al. Anti-inflammatory effect of ginsenoside Rb1 contributes to the recovery of gastrointestinal motility in the rat model of postoperative ileus. Biol Pharm Bull. 2014;37(11):1788-94.

[5] Kono T, et al. Daikenchuto (TU-100) ameliorates colon microvascular dysfunction via endogenous adrenomedullin in Crohn’s disease rat model. J Gastroenterol. 2011;46(10):1187-96.

[6] Akamaru Y, et al. Effects of daikenchuto, a Japanese herb, on intestinal motility after total gastrectomy: a prospective randomized trial. J Gastrointest Surg. 2015;19(3):467-72.

[7] Shibata C, et al. The herbal medicine Dai-Kenchu-Tou stimulates upper gut motility through cholinergic and 5-hydroxytryptamine 3 receptors in conscious dogs. Surgery. 1999;126(5):918-24.

[8] Nagano T, et al. Effect of Dai-kenchu-to on levels of 3 brain-gut peptides (motilin, gastrin and somatostatin) in human plasma. Biol Pharm Bull. 1999;22(10):1131-3.

[9] Satoh K, et al. Mechanism of atropine-resistant contraction induced by Dai-kenchu-to in guinea pig ileum. Jpn J Pharmacol. 2001;86(1):32-7.

[10] 公益財団法人長寿科学振興財団:腸内細菌叢(腸内フローラ)とは

[11] Shi Z, et al. Anti-inflammatory effect of ginsenoside Rb1 contributes to the recovery of gastrointestinal motility in the rat model of postoperative ileus. Biol Pharm Bull. 2014;37(11):1788-94.

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